専任技術者を実務経験で証明しようとする場合、本来であれば、許可を受けようとする業種について、
「10年以上の実務経験」等があることが必要です。
しかしながら、「一定範囲の業種」、つまり「申請しようとする業種と技術的に共通性がある業種」は、
「10年以上実務経験」等がなくても、専任技術者になれる場合があります。
わかりにくいので、例をあげます。
のび太さんは、A社で働いていました。
A社は、「建築工事業」の建設業許可をもっています。
のび太さんは、主に現場主任をしています。
しかしながら、のび太さんは、A社の「専任技術者」ではありません。
のび太さんは、A社に「4年間勤務」し、退社しました。
のび太さんは、B社に転職しました。
B社は、「水道施設工事業」ですが、「建設業許可」はありません。
のび太さんは、B社に勤務してから、8年になります。
さて、今回、
B社が、「水道施設工事業」で建設業許可をとりたい!ということです。
専任技術者は、のび太さんを予定しております。
のび太さんは、特に技術資格をもっていません。
専任技術者の適格があることを、「実務経験10年」で証明しようと考えています。
上記ののび太さんのストーリを整理します。
- A社に4年間勤務している。
- A社は「建築工事業」の建設業許可をもっている。
- A社で現場主任をやっていた。
- B社に転職。
- B社は、「水道施設工事」をしているが、建設業許可をもっていない。
- B社に勤めて8年である。
- B社は、「水道施設工事業」の建設業許可をとりたい!
- 専任技術者は、のび太を予定している。
- のび太は、技術資格をもっていない。
- のび太さんは、普通高校を卒業しています。
B社は、建設業の「水道施設工事業」をとりたい!です。
のび太さんを専任技術者にしたいのですが、のび太さんの「水道施設工事」の実務経験年数は、「8年」です。
「10」年に満たないので、通常は、実務経験年数が足りません。
しかしながら、のび太さんは、A社で、建築工事業の現場主任を4年やっていました。
そして、のび太さんのA社とB社の合計勤務期間は、12年です。
この場合、のび太さんは、水道施設工事の実務経験が10年ではなく、8年ですが、
専任技術者としての要件は満たしますよ!ということなのです。
この専任技術者の実務要件緩和が適用される、申請業種は次の9種類です。
- とび・土工・コンクリート
- しゅんせつ
- 水道施設
- 大工
- 屋根
- 内装仕上
- ガラス
- 防水
- 熱絶縁
これ以外の申請をする場合には、適用されません。
許可を受けようとする(上記9種類)について8年を超える実務経験と「土木工事業」や「建築工事業」の
実務経験等の経験を合わせて、12年以上あれば、専任技術者の資格をとることができます。
つまり、申請しようとする業種の実務経験が「8年」であっても、専任技術者になれる可能性があります。
振替のパターンは3種類あります。
- 土木工事業の実務経験(4年以上) ⇒「とび・土工・コンクリート」、「しゅんせつ」、「水道施設」の3業種(8年以上)
- 建築工事業の実務経験(4年以上) ⇒「大工」、「屋根」、「内装仕上」、「ガラス」、「防水」、「熱絶縁」6業種(8年以上)
- 専門工事間での実務経験の振替を認める場合
「大工」 と 「内装仕上」
行政書士 瓜生寛