ある程度規模の大きい建設会社では、「分社化」や「新会社設立」等、親会社と子会社間のような、資本交流が多数あります。
親会社に籍を置いたまま、子会社に出向することを「在籍出向」といいます。
一方、事実上の退職と就職の場合を「転籍出向」といいます。
ゼネコンなどでは、「在籍出向」は多く行われています。そして、建設業許可で問題になるのは、「在籍出向」の場合です。
「在籍出向」では、親会社や関連会社に籍をおいたまま、たとえば、「子会社」に『でかせぎ』にくるわけです
そのため、出向社員が、在籍出向先で「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」になる場合、その会社で「常勤性があるかどうか」が問題になります。
結論からいうと、
他社からの出向社員は、「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」になることはできます。
そして、出向社員の常勤性や雇用を示す資料は、
- 出向元と出向先との間で締結された出向契約書・覚書の写し
⇒契約書に出向社員の氏名がない場合は、「出向命令書」または「辞令」が必要です。 - 親会社や関連会社(出向元)が記載された健康保険の保険証の写し。
- 出向元の賃金台帳、出向先の出勤簿の写し
などが必要になります。
書類上の「出向の期限」が短期間に到来する場合は、「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」になるためには、出向社員を期限後も常用するという「誓約書」も必要です。
それでは、出向社員が「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」になることができたとして、「主任技術者」や「監理技術者」になることができるでしょうか?
答えは「ノー」です。
現場に配置しなければいけない「主任技術者」や「監理技術者」は、「直接的かつ恒常的な雇用関係が必要」です。
その理由から、「在籍出向者」は、「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」になることができても、「主任技術者」や「監理技術者」になることはできません。
行政書士 瓜生寛