経営業務の管理責任者になることができるのはどんな人でしょうか?

建設業許可の新規申請には「経営業務の管理責任者」がいることが必要です。
「経営業務の管理責任者」は、略して「ケイカン」とよばれています。
しかしながら、ただ建設会社の役員であったり、建設業の個人事業主であるだけでは、かならず「経営業務の管理責任者」になれるとは限りません。


その一「経営業務の管理責任者」になることができるのはどんな人でしょうか?


「経営業務の管理責任者」になれる人とは、
  1. 法人の場合は、常勤の役員(代表取締役、取締役)です。
  2. 個人の場合は、事業主本人や支配人です。

    つまり「建設業の経営について詳しい」、「経営業務を総合的に管理し、執行した経験」がある人が「経営業務の管理責任者」になれるのです。

    法人の場合の「常勤の役員」であり、個人の場合の「個人事業主」を建設業を申請する役所(建設業課)に証明しなければなりません。

    役所(建設業課)に証明する為の方法が次に書いてあります。


その二 役所(都道府県の建設業課)に「経営業務の管理責任者」であることを証明する方法

建設業許可申請のとき、都庁や県庁の建設業課にに「経営業務の管理責任者」の証明書類を提出します。

つまり、この人は「経営業務の管理責任者の要件がありますよ」、という書面を提出します。
その書面の内容は、「常勤の役員であること」と「経験年数をみたしていること」の2つを証明する書類です。

次は、具体的な「経営業務の管理責任者」の証明方法です。


建設業課に「経営業務の管理責任者」の証明方法は、、次のSTEP1STEP2をクリアしなければなりません。

STEP1・・・「現在の」、許可申請する会社の常勤の役員であることを証明する!

  1. 申請する会社の役員であることの証明
    ⇒「役員」であることを証明するには、 登記事項証明書に登記されていることです。
    「経営業務の管理責任者」になれる人は、代表取締役でも、取締役でもかまいません。
  2. 住民票⇒自宅から会社(事業所)まで片道2時間以内かを確認!
    自宅から会社までが遠い役員は、「経営業務の管理責任者」として認められないことがあります。
    つまり、北海道に住んでいる人が、東京の会社までは、毎日通勤できないので、「常勤性はなし!」となります。
  3. 社会健康保険者証⇒会社(事業所)の名前が印字されているので、「常勤性」があると判断します。
 国民健康保険など会社(事業所)が印字されていない場合は、
「国民健康保険証」にプラスして、
以下の書類等で「常勤性」を確認することなります。
  1. 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書の写し(原本提示)
  2. 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認及び標準決定通知書の写し(原本提示)
  3. 住民税特別徴収税税額通知書(徴収義務者用)の写し(原本提示)

STEP2・・・「過去の」、「経営業務の管理責任者」の経営経験年数や内容を証明する!


「経営業務の管理責任者」の予定者は、「最低でも5年間、会社の役員」をし、「請負契約締結などの業務権限」があったことを示す必要があります。


具体的な例を示し、「経営業務の管理責任者」になれるかどうかみていきます。
「ケースA」と「ケースB」の場合があります。
「ケースB」の方が、建設業の新規許可の難易度は上がります。


ケースA 「経営業務の管理責任者」予定者が、以前、建設業許可をもっている会社の役員だった場合は?

まず、「経営業務の管理責任者」の予定者をのび太さんとします。
以前、のび太さんは、(株)ウリ建設に取締役として、満5年勤務していました。

(株)ウリ建設は、東京都の建設業知事許可の「塗装工事業」をもっています。
(株)ウリ建設は、10年以上前から知事許可の建設業者として営業しております。


内容をまとめると
のび太さんは、
・(株)ウリ建設の取締役を5年間やった。
・(株)ウリ建設は、10年前から「塗装工事業」の建設業の知事許可をもっている。
となります。

のび太さんは独立をし、(株)がんばる工務店を設立しました。
のび太さんは、代表取締役となりました。

そして、のび太さんは、(株)がんばる工務店の建設業申請を東京都に申請しました。
業種は、「防水工事業」です。


このとき、結論からいうと、
「防水工事業」の許可はとれません。

その理由は、
  1. のび太さんは、前の会社「ウリ建設」において5年間、取締役をしていました。
    そして、(株)ウリ建設は、「塗装工事業」の知事許可をもっています。

    のび太さんの取締役としての経験は、「5年以上7年未満」となるので、経験した「塗装工事業」の許可はとれます。
    しかし、「防水工事業」はとれないこととなります。

    ⇒「経営業務の管理責任者」の実務経験のくわしい説明はこちら
  2. そこでのび太さんは、「防水工事業」をあきらめ、「塗装工事業」の知事許可の申請に変えました。
    「塗装工事業」の許可はとれます。

のび太さんが、「経営業務の管理責任者」になるために、過去の経験年数や常勤性を証明する書類としては、

・(株)ウリ建設の登記事項証明書(以前の勤務先)
・(株)ウリ建設の「建設業の許可通知書の写し(塗装工事業)」

になります。


ケースB 「経営業務の管理責任者」予定者が、以前、建設業許可をもっていない会社の役員だった場合は?

まず、経営業務の管理責任者の予定者をジャイアンさんとします。
以前、ジャイアンさんは、(株)山田塗装に取締役として、満5年勤務していました。

(株)山田塗装は、500万円以下の工事のみを請け負っていたので、建設業の「塗装工事業」の免許はありません。
ジャイアンさんは、建設業の許可をもっていない会社の取締役です。

(株)山田塗装は、10年以上、「塗装工事」をしています。


内容をまとめると
ジャイアンさんは、
・(株)山田塗装の取締役を5年間やった。
・(株)山田塗装は、建設業許可をもっていない。
となります。

ジャイアンさんは独立をし、(株)ビック塗装を設立しました。
ジャイアンさんは、代表取締役となりました。

そして、ジャイアンさんは、(株)ビック塗装の建設業申請を東京都に申請しました。
業種は、「塗装工事業」です。



ジャイアンさんが、「経営業務の管理責任者」になるために、過去の経験年数や常勤性を証明する書類としては

・(株)山田塗装の登記事項証明書

・(株)山田塗装の「塗装業」の請求書+その入金の銀行通帳
⇒証明する期間通年分、1か月に1件が原則
つまり、5年間証明するには、「1年で12件」ですから、60件以上の請求書と通帳の入金の写しが必要になります。


【経営業務の管理責任者】の経験年数とは、次のようになります。


「取締役」等の経験年数が
5年未満の場合・・・その人は、「経営業務の管理責任者」にはなれません。

5年以上7年未満の場合・・・その人は、経験のある業種についての「経営業務の管理責任者」になることができます。

7年以上の場合・・・その人は、すべての業種について「経営業務の管理責任者」になれます。
「経営を補佐した」経験年数が、
7年以上の場合・・・その人は、すべての業種について「経営業務の管理責任者」になれます。
注⇒「経営補佐の証明」をするのは、むずかしく、建設業許可申請の難易度はあがります。


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