埼玉県で建設業新規を申請するとき、社会保険未加入でも申請はできますか?

「建設業許可申請の手引き」という冊子が各都道府県ごとに毎年発行されています。

埼玉県の「建設業許可申請の手引き」には、社会保険に加入していない場合、

経営業務の管理責任者や専任技術者の「常勤であること」の証明方法が記載されています。


社会保険未加入の場合の『常勤の確認資料』は、次の3パターンにわかれます。

【パターン1・法人が、社会保険(けんぽ)に未加入、厚生年金保険に加入】

これは、健康保険が「土建組合等の健康保険証」であり、厚生年金保険は、「健保組合に加入」している場合です。

また、雇用保険にも加入しています。

『常勤の確認資料』としては、

  • 雇用保険被保険者証の写し
  • 厚生年金の被保険者標準報酬決定通知書の写し
  • 厚生年金の被保険者の資格取得時、確認通知書の写し(定時決定の対象外となっている場合)

【パターン2・法人が、社会保険(けんぽ)、厚生年金保険、どちらにも未加入】

これは、本来、社会保険法では、「法人は、社会保険への加入義務」があるので、

厳密に言えば、法律違反をしている状態です。

しかしながら、建設業の許可の申請はでき、許可もとれます。

『常勤の確認資料』としては、

  • 国民健康保険証の写し
  • 住民税特別徴収税額通知書の写し(直近分)

※「住民税の特別徴収」とは、簡単にいうと、「従業員の住民税を、会社が一旦立替払いします。そして給料から天引きし、会社にもどす」ものです。


【パターン3・法人が、社会保険(けんぽ)、厚生年金保険、どちらにも未加入・住民税の特別徴収もしていない】

社会保険に加入していない会社はこのパターンが一番多いと思います。

『常勤の確認資料』としては、

  • 国民健康保険証の写し
  • 常勤の念書(申請法人名で作成し、申請法人の実印を押印)
  • 会社の印鑑証明書
  • 源泉徴収簿(源泉徴収票ではないです)または賃金台帳

社会保険に加入していなくても、上記の、経営業務の管理責任者や専任技術者の

『常勤の確認資料』を添付し、建設業許可はとれます。

しかし・・・いつまでも、「社会保険に未加入」というわけにはいかないのです。

まず、建設業課が、「社会保険に加入するように」と指導します。

指導を受けても、社会保険に未加入であれば、建設業課から年金事務所に連絡をし、

最終的には、半ば強制的に加入しなくてはなりません。

以上のように、遅かれ早かれ、社会保険に加入の義務が課せられるのであれば、

建設業許可の新規・更新申請の際に、一気に手続きしまった方が、楽かもしれません。


行政書士瓜生寛

建設業の変更届は、どういうものですか?

建設業の「変更届」は、正式には「変更の届出」をいいます。

「変更の届出」は、建設業新規許可を取得したあとに、変更事項が生じた場合に、建設業課に提出します。

変更を生じた日から、「30日以内」に届出なければならないものと「2週間以内」に届出なければならないものがあります。


【変更後30日以内】

  1. 商号
  2. 営業所の名称
  3. 営業所の所在地・電話番号・郵便番号
  4. 営業所の新設
  5. 営業所の廃止
  6. 営業所の業種追加
  7. 営業所の業種廃止
  8. 役員等の就任
  9. 役員等の辞(退)任
  10. 代表者変更
  11. 氏名変更(改姓・改名)
  12. 支配人新任・退任・氏名変更

【変更後2週間以内】

  1. 建設業法施行令第3条に規定する使用人の変更
  2. 経営業務の管理責任者の「変更・追加」、削除、氏名変更
  3. 専任技術者の変更、氏名変更
  4. 国家資格者・管理技術者の変更

【事業年度終了後4ヶ月以内】

  • 決算報告

建設業の変更届は、上記のように商号または名称、取締役、資本金、営業所の名称や所在地、経営業務の管理責任者、専任技術者に変更があったときに提出します。

届出ですが、変更を生じた日から定められた期間内に届出ることが義務づけられています。

この変更届を怠ると、「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」ということになっています。

あなたが考えるより、けっこう重い罰則になっていると思いませんか?

それだけ、変更届は重要ということです。甘くみてはいけません。


「決算変更届」は、事業年度終了後4ヶ月以内に毎年提出します。

税務署の決算をしたのに、なぜもう1回「決算変更届」をしなければならないのでしょうか?

その理由は、建設業には、「継続的に営業をしていない場合、許可の取消処分」があるからです。

つまり、決算変更届を建設業課に提出することで、次の建設業許可取消の事由に該当しなくなるのです。

「許可をうけてから1年以内に営業を開始せず、または引続き1年以上営業を停止した場合」は建設業許可の取消となる。

決算変更届は、これらのことに該当しないとう証明です。


行政書士 瓜生寛

新規で会社を設立し、建設業の許可をとりたいのですが、注意する点は何ですか?

新規で会社を設立し、建設業許可を取得したい場合,

注意点は、次の3つになります。

  1. 役員の中に「経営業務の管理責任者」がいる。
  2. 一般建設業では、500万円以上の財産的基礎あるいは金銭的基礎の証明が必要。
  3. 新規法人の事業目的に、取得しようとする建設業許可の業種を具体的に記載する。

以上、この3つに注意してください。


まず、はじめに『役員の中に「経営業務の管理責任者」がいる』についてです。

これは、建設業許可の要件で、経営業務の管理責任者は、「役員として登記されている」ことが必要だからです。

現在の登記事項証明書で、役員として「経営業務の管理責任者」が登記されているのが必要です。

そして、建設業許可の経営業務の管理責任者審査は、「役員として登記」にプラスして、実務経験が「5年」であるとか、「7年」であるとかを、建設業課に対し証明します。


次に一般建設業の500万円以上の財産的基礎や金銭的基礎ですが、

これは、株式会社であれば、「500万円以上の資本金で設立した」のを証明すれば問題ありません。

また、500万円以下の資本金で株式会社を設立した場合、会社の銀行残高証明書で「500万円以上の預貯金」を

証明すればいいのです。


最後に、定款の「事業目的」です。

ベストなのは、建設業の申請業種と同一の表現を使用することです。

たとえば、「内装仕上工事」、「土木一式工事」、「建築一式工事」、「大工工事」、「解体工事」等と記載するのです。


もし、申請業種が、会社定款の「事業目的」入っていない場合、

  1. 登記変更により、事業目的を追加する  あるいは
  2. 「念書」を建設業に提出する。

この2つのどちらかをします。できるだけ早く申請したいときは、「2」の「念書」で対応します。

念書を建設業課に提出する場合、念書の内容は、「事業目的に、○○業の記載がありませんが、○○業を事業目的に追加することを約束します。」

といった内容です。

そして、次回の更新時までに必ず変更し、事業年度終了後の決算変更届け時に、変更した定款を建設業課に提出します。


行政書士 瓜生寛

建設業の許可申請のときは、必ず社会保険(健康保険・厚生年金保険)や雇用保険に加入しなければいけませんか?

この答えは、建設業許可の申請のために、社会保険(健康保険・厚生年金保険)や雇用保険に加入する必要が、原則、あります。


【社会保険(健康保険・厚生年金保険)】について

まず、建設業許可でなくても、法人は、社会保険(健康保険・厚生年金保険)は、『強制加入(必ず入る必要がある)』です。

これは、新しい法律により強制加入というのではなく、以前から強制加入だったのですが、この最近、関係行政庁がうるさく加入を推進しています。

たとえば、代表取締役1人と従業員2人の株式会社でも、社会保険(健康保険・厚生年金保険)は、『強制加入』です。

代表者員1人の合同会社でも、社会保険(健康保険・厚生年金保険)は、『強制加入』です。


『強制加入』があるので、『任意加入』もあります。

これは、【個人事業者の従業員数が5人未満】の場合です。個人事業で屋号などで商売をしている方です。

したがって、法人はすべて、社会保険は、『強制加入』なのです。

そして、建設業の許可申請も、社会保険加入を「最終的」にはしなければならない状態です。

社会保険の加入の手続きは、「年金事務所」でおこないます。


【労働保険(雇用保険)】について

労働保険には、「労災保険」と「雇用保険」があります。

建設業許可に関係してくるのは「雇用保険」です。

建設業の場合、労働保険のうち、「雇用保険」のみだけ加入し、「労災保険」は加入しない場合もあります。


「雇用保険」のみ加入という代表事例は、元請工事がなく、下請工事だけの場合です。

この場合、「労災保険」は、元請会社がまかなうのです。

こうように、建設業では、本来、労働保険として「労災保険」と「雇用保険」の両方に加入する義務があるのですが、

例外的に「雇用保険」というパターンも多くあります。

これを、「二元適用事業」といいます。

雇用保険の加入手続きは、ハローワークでおこないます。


いずれにしても、建設業の許可を考えるとき、

  1. 健康保険加入
  2. 厚生年金保険加入
  3. 雇用保険加入

この3点は、加入することを前提に申請を進めます。


行政書士 瓜生寛

 

特定建設業の財産的基礎、金銭的信用とは、どのようなものでしょうか?

特定建設業は、「許可申請直前」の決算おいて、次の3つの基準すべてを満たしていることが求められます。

  1. 「欠損の額」が資本金の額の20%を超えていないこと。「欠損の額」とは、法人と個人で、科目がかわってきます。
    つまり、「欠損の額」とは、
    ・法人の場合・・・貸借対照表のマイナスの繰越利益剰余金が、
    「資本剰余金」、「利益準備金」、「その他利益剰余金(繰越利益剰余金を除く)の合計額を上回る額。・個人の場合・・・事業主損失が、事業主借勘定から事業主貸勘定の額を控除した額に、
    負債の部に計上されている利益留保性の引当金、準備金を加えた額を上回る額。


  2. 「流動比率」が75%以上であること。
    「流動比率」とは、次の数式で求められます。流動資産÷流動負債


  3. 「資本金の額」が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること。「資本の額」とは、次の額です。
    ・株式会社・・・払込資本金
    ・特例有限会社・・・資本の総額
    ・合資会社・合名会社・・・出資金額
    ・個人・・・期首資本金

特定建設業の更新の場合でも、上記の3基準を満たさないと、特定建設業は維持できなくなります。

また、許可申請する前に、増資することにより基準を満たすことになった場合は、上記3基準を満たしたことになります。


行政書士 瓜生寛

 

建設業の新規許可のときの「500万円以上」の財産があるか?はどのように証明すればいいのでしょうか?

一般建設業の新規申請では、500万円以上の財産の有無が審査されます。

また、特定建設業は、常にその財産的基礎が維持していることが求められます。


【一般建設業の財産的基礎】

「500万円以上の財産があるかどうか」は、次の「1」か「2」の書面を建設業課に提出し、証明します。

  1. 「財産的基礎」による証明
    「自己資本の額」が500万円以上の場合、財務諸表により証明します。
    つまり、決算書上で、「自己資本の額」を証明するということです。「自己資本の額」とは、総資本から他人資本を控除したものです。・法人であれば、決算書上の「純資産合計額」です。・個人であれば、少しややこしいですが、「期首資本金」、「事業主仮勘定」、「事業主利益」の合計額から、
    「事業主貸勘定」の額を控除した額に、負債の部に計上されている利益留保性の「引当金」、「準備金」の額を
    を加えた額、となります。


  2. 「金銭的信用」による証明最も一般的なのが、「銀行の残高証明書」による証明です。
    銀行の預金科目は、普通預金、定期預金、当座預金等、何でもかまいません。その他
    ・500万円以上の申請者名義の所有不動産などの評価証明書
    ・500万円以上の申請者名義の金融機関の融資証明書
    などでも代用できます。

『許可を受けたあとの更新時』は、金融機関の残高証明書は、必要か?

「更新」の審査においては、改めて財産的基礎の審査を受ける必要はありません。

したがって、「金融機関の残高証明書」も必要ないです。

その理由は、新規で許可を受けたときから、毎年「決算変更届」を提出し、5年間営業をした!

という事実があるからです。


行政書士 瓜生寛

出向社員は、「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」になれますか?

ある程度規模の大きい建設会社では、「分社化」や「新会社設立」等、親会社と子会社間のような、資本交流が多数あります。

親会社に籍を置いたまま、子会社に出向することを「在籍出向」といいます。
一方、事実上の退職と就職の場合を「転籍出向」といいます。

ゼネコンなどでは、「在籍出向」は多く行われています。そして、建設業許可で問題になるのは、「在籍出向」の場合です。


「在籍出向」では、親会社や関連会社に籍をおいたまま、たとえば、「子会社」に『でかせぎ』にくるわけです

そのため、出向社員が、在籍出向先で「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」になる場合、その会社で「常勤性があるかどうか」が問題になります。


結論からいうと、

他社からの出向社員は、「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」になることはできます。

そして、出向社員の常勤性や雇用を示す資料は、

  1. 出向元と出向先との間で締結された出向契約書・覚書の写し
    ⇒契約書に出向社員の氏名がない場合は、「出向命令書」または「辞令」が必要です。
  2. 親会社や関連会社(出向元)が記載された健康保険の保険証の写し。
  3. 出向元の賃金台帳、出向先の出勤簿の写し

などが必要になります。


書類上の「出向の期限」が短期間に到来する場合は、「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」になるためには、出向社員を期限後も常用するという「誓約書」も必要です。


それでは、出向社員が「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」になることができたとして、「主任技術者」や「監理技術者」になることができるでしょうか?

答えは「ノー」です。

現場に配置しなければいけない「主任技術者」や「監理技術者」は、「直接的かつ恒常的な雇用関係が必要」です。

その理由から、「在籍出向者」は、「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」になることができても、「主任技術者」や「監理技術者」になることはできません。


行政書士 瓜生寛

専任技術者になるために「技術検定」を取得するにはどうしたらいいのでしょうか?

建設業の新規許可の取得のため、技術検定に合格すると、

  • 営業所ごとに置く「専任技術者」になれます。
  • 工事現場に置く「主任技術者」または「監理技術者」になれます。

特に、「指定建設業」の場合、専任技術者や監理技術者は、技術検定などに合格した

国家資格者である必要があります。


技術検定は、

  1. 建設機械施工
  2. 土木施工管理
  3. 建築施工管理
  4. 電気工事施工管理
  5. 管工事施工管理
  6. 造園施工管理

以上、6種目があります。


このうち3種目の2級は、以下の種別に分類されます。

  • 2級建設機械施工技術検定 「第1種」~「第6種」
  • 2級土木施工管理技術検定 「土木」・「鋼構造物塗装」・「薬物注入」
  • 2級建築施工管理技術検定 「建築」・「躯対」・「仕上」

【国家資格などについての連絡先】は、以下の通りです。

建設機械施工技士

(一社)日本建設機械施工協会
〒105-0011 東京都港区芝公園3-5-8
機械振興会館
℡03-3433-1501 http://www.jcmanet.or.jp/


土木施工管理技士

(一財)全国建設研修センター 試験業務局土木試験部土木試験課
〒187-8540 東京都小平市喜平町2-1-2
℡042-300-6860 http://www.jctc. jp/


建築施工管理技士

(一財)建設業振興基金 試験研修本部
〒105-0001 東京都港区虎ノ門4-2-12
虎ノ門4丁目MTビル2号館6階
℡03-5473-1581 http://www.fcip.jp/


電気工事施工管理技士

一財)建設業振興基金 試験研修本部
〒105-0001 東京都港区虎ノ門4-2-12
虎ノ門4丁目MTビル2号館6階
℡03-5473-1581 http://www.fcip.jp/


管工事施工管理技士

(一財)全国建設研修センター 試験業務局管工事試験部管工事試験課
〒187-8540 東京都小平市喜平町2-1-2
℡042-300-6855 http://www.jctc. jp/


造園工事管理技士

(一財)全国建設研修センター 試験業務局造園・区画整理試験部造園試験課
〒187-8540 東京都小平市喜平町2-1-2
℡042-300-6866 http://www.jctc. jp/


建築士・木造建築士

(公財)建築技術教育普及センター本部
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6
紀尾井町パークピル
TEL03-6261 -331 0 http://www.jaeic.or,jp/


技術士

(公社)日本技術士会
〒105,0001 東京都港区虎ノ門4,1-20
田中山ビル8階
℡03-3459-1333 http://www.engineer.or.jp/


電気工事士

(一財)電気技術者試験センター
〒104-8584 東京都中央区八丁堀2-9-I
RBM東八重洲ビル8階
℡03-3552-7691 http://www.shiken.or.jp/


電気主任技術者

(一財)電気技術者試験センター
〒104-8584 東京都中央区八丁堀2-9-I
RBM東八重洲ビル8階
℡03-3552-7691 http://www.shiken.or.jp/


電気通信主任技術者

(一財)日本データ通信協会 電気通信国家試験センター事務所
〒170-8585  東京都豊島区巣鴨2-11-1
巣鴨室町ビル6階
℡03-5907-6556 http://www.shiken.dekyo.or.jp/


地すべり防止工事士

(一社)斜面防災対策技術協会
〒105-0004 東京都港区新橋6-12-7
新橋SDビル6階
℡03-3438-0493 http://www.jasdim.or.jp/


建築整備士

(一社)建築技術教育普及センター本部
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6
紀尾井町パークビル
TEL03-6261 -331 0 http://www.jaeic.or,jp/


計装士

(一社)日本計装工業会
硝=105.0001 東京都港区虎ノ門2-8-1
虎の門電気ビル5階
TEL03-3580-8921 http:/www.keiso.or.jp/


給水装置工事主任技術者

給水工事技術振興財団
〒163-0712 東京都新宿区西新宿2-7-1
小田急第一生命ビル12階
TEL03-6911-2711 http:/www.kyuukou.or.jp/


消防設備士

(一財)消防試験研究センター
〒100-0013 東京都千代田区霞が関1-4-2
大同生命霞が関ビル19階
℡03-3597-0220 http://www.shoubo-shiken.or.jp/


技能士

中央職業能力開発協会
〒160,8327 東京都新宿区西新宿7-5-25
西新宿木村屋ビルディング11階
℡03-6758-2859 http://www.javada.or.jp/


監理技術者資格者証

(一財)建設業技術者センター
〒102-0084 東京都千代田区二番町3番地
麹町スクエア4階
℡03-3514-4711  https://www.cezaidan.or.jp/


行政書士 瓜生寛

建設現場における「現場代理人」とはなんでしょうか?

まず、「現場代理人」とは、誰の代理人でしょうか?

これは、「請負人」の代理人です。「注文者」の代理人は、「監督員」といいます。


「現場代理人」の仕事は、

『工事現場の取り締まりを行い、工事の施工に関する一切の事項を処理する』

ことです。

こうなると、「主任技術者」や「監理技術者」と同じようですが、技術者は「施行の技術上の管理をする」ことになっています。

とにかく、現場にたくさんの「親方」がいると、混乱を招く可能性があるので、「請負人」が「現場代理人」を、工事現場に置く場合、

相手方である「注文者」に通知することが義務づけられています。


注文者としては、現場監督人の行為について紛争が起きた場合、直接、「現場代理人」に言っても、解決しない場合があります。

こんな場合、注文者は、請負人に直接、苦情を言う場面も多いはずです。

こうした理由で、請負人が「現場代理人」を選任しました!ということを注文者に通知する必要があるのです。


請負人が、「現場代理人」について、注文者に通知すべき事項は、

  1. 現場代理人の権限に関する事項(契約内容の変更等の権限があるか?等)
  2. 現場代理人の行為について、注文者が請負人に対する意見の申出の方法(たとえば、「理由を明示した書面による」等」

が必要です。


建設業法では、主任技術者や監理技術者を、工事現場に置くことは義務づけています。

しかしながら、、現場代理人を置くことは、義務づけていません。

したがって、後日のトラブルをさけるためにも、「現場代理人」を選任したら、注文者に通知して!ということになったのです。


また、「現場代理人」と「主任技術者」などの兼任は、認められているとされています。


行政書士 瓜生寛

 

主任技術者や監理技術者は、「他の工事現場の技術者を兼任をする」のは、認められませんか?

建設業法において、主任技術者または監理技術者は、工事現場ごとに「専任」でなければならないとされています。
「専任」としなければいけない工事規模は、「請負金額が3,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上」の規模の場合です。

つまり、「請負金額が3,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)未満」の工事ではあれば、主任技術者または監理技術者は、
「専任」である必要がありません。
たとえば、「800万円の工事を5箇所の主任技術者をする!」ということも大丈夫の場合もあります。


基本的には、

「主任技術者の資格」は、一般建設業の営業所ごとに置かなければいけない「専任技術者の資格」と同一です。
「監理技術者の資格」は、、特定建設業の営業所ごとに置かなければいけない「専任技術者の資格」と同一です。


「専任」とは、「他の工事現場の技術者との兼任を認めないこと」を意味します。
つまり、原則として「専任の主任技術者」または、「専任の監理技術者」を、常時、継続的に、
その建設工事現場に置かなければなりません。


原則は、「ある程度の工事規模の技術者は『専任!』」となっていますが、例外もあるわけです。
たとえば、「近接する工事現場などでは、複数の工事現場の主任技術者または監理技術者になることが認めらる場合もあります。」


【主任技術者の兼任が認められる工事】は以下とおりです。

  1. 工作物に一体性や連続性が認められる工事。
  2. 相互に調整を必要とする工事。
  3. 「1」あるいは「2」の工事であり、工事現場の相互の間隔が10㎞程度である。

このような工事であれば、同一の「専任の主任技術者」がこれらの工事現場を「兼任」管理していいよ!
ということになりました。
しかしながら、「兼任できる現場数」は、原則2つまでです。

上記にような具体的内容が例示されているには、「主任技術者」のみです。
この規定は、「監理技術者」には適用されません。

「監理技術者」が、現場を兼任する場合は、より細かい要件があります。
たとえば、同一発注者であること、構造物等に一体性があること、請負契約が随意契約であること等です、


その他、「主任技術者」や「管理技術者」で注意すべきことは、

  1. 直接的かつ恒常的に雇用関係にあること(たとえば、入札参加資格確認申請のあった日以前に3ヶ月以上の雇用関係にあること)
  2. (原則)各営業所の「専任技術者」は、原則として現場に配置する「主任技術者」や「監理技術者」になれません。
    ⇒(現状、例外が多数です)⇒「(例外)工事現場と営業所が近接している場合、『専任しなくてもいい現場の主任(監理)技術者』になれますよ-」ということです。

行政書士 瓜生寛